基礎知識 |
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更生保護とは? |
人は一度罪を犯したら、再び社会の一員としては生きていけないのでしょうか?人生をやり直すことはできないのでしょうか?どんなに反省し、改心し、罪を償っても許されないとしたら…再び犯罪に走るしかなくなってしまいます。そんな人々を、社会が温かく見守り、立ち直りを助ければ、また新たな人生を歩み始めることができるのです。そして、犯罪や非行が減り、誰もが暮らしやすい社会につながります。
犯罪や非行をした人のほとんどが、いずれは社会に帰ってきます。彼らが自らの過ちと真摯に向き合い再び犯罪に手を染めないよう、その立ち直りを支える制度が「更生保護」なのです。
【更生保護法第1条】
この法律は、犯罪をした者及び非行のある少年に対し、社会内において適切な処遇を行うことにより、再び犯罪をすることを防ぎ、又はその非行をなくし、これらの者が善良な社会の一員として自立し、改善更生することを助けるとともに、恩赦の適正な運用を図るほか、犯罪予防の活動の促進等を行い、もって、社会を保護し、個人及び公共の福祉を増進することを目的とする。 |
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保護司について |
保護司手帳と記章
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保護司は、保護司法に基づき法務大臣から委嘱された非常勤の国家公務員で、無給のボランティアです。
【保護司法第1条】
保護司は、社会奉仕の精神をもって、犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助けるとともに、犯罪の予防のため世論の啓発に努め、もって地域社会の浄化をはかり、個人及び公共の福祉に寄与することを、その使命とする。 |
その活動は
1.保護観察 : 保護観察になった人に対して、定期的に面接をして生活上の
指導・助言や就学・就労の援助などを行います。更生保護に関して専門
的な知識を持つ保護観察官(国家公務員)と協して行います。
2.生活環境調整 : 刑務所や少年院に収容されている人が、釈放後にスム
ーズに社会復帰ができるよう、帰住先や引受人の調査を行い、受入れ態
勢を整えます。
3.犯罪予防活動 : 犯罪を未然に防ぐために、世論や地域での啓発活動を
行います。毎年7月には「社会を明るくする運動」として様々な活動を行い
ます。
4.他機関との連携 : 地域の学校、その他関係者や関係機関と連絡・協議
・連携活動を行います。
それぞれの保護区(政令で定められた区域)の保護司会組織に加入し、研修・関係機関との連携・広報活動・地域での啓発行事等組織的な活動も行います。
多摩地区には9つの地区保護司会があります。
保護司はその職務上知り得た関係者の身上に関する情報・秘密を守る義務があります。
給与は支給されませんが、活動内容に応じて一定の実費弁償金が支給されます。
活動中にけがなどをして災害を受けた時は、国家公務員として公務災害の補償が受けられます。
任期は2年ですが、再任されることができます。ただし再任は76歳未満までです。
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保護司になるには? |
保護司は、保護区(政令で定められた区域)ごとに定員があり、保護観察所に置かれた保護司選考会によって選出されます。
条件として、
・人格及び行動について社会的信望があること。
・熱意と活動のための時間的余裕があること。
・生活が安定していること。
・健康で活動ができること。
と保護司法に定められています。
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保護観察とは? |
犯罪や非行をした人が、地域の中で生活をしながら、保護観察官や保護司の指導・助言を受け、立ち直りをはかろうとする制度です。保護観察期間中は、定期的に保護観察官や保護司による面接を受け、約束事(遵守事項)が守れているか、生活状況はどうかなどを報告します。
保護観察の対象
①家庭裁判所で保護観察に付された少年(保護観察処分少年)
②少年院から仮退院を許された少年(少年院仮退院者)
③刑事施設からの仮釈放を許された人(仮釈放者)
④裁判所で刑の執行を猶予され保護観察に付された人(保護観察付執行猶予者)
(イラスト図:法務省保護局「保護司と学校との連携パンフレット」より)
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